月刊経済紙 春秋2024.8 オアハカの屋根(ムナジロミソサザイ)
メキシコ南部に位置するオアハカ州は、山岳地帯や熱帯雨林など多様な自然環境に恵まれている。また、多くの先住民族が住む地域であり、豊かな伝統文化を継承している。鮮やかな色彩と複雑な刺繍が特徴的な衣装を思い出す人も多いであろう。その中心であるオアハカ市から車で二時間弱の場所に、アポアラという村がある。この地区は自然の美しさと豊かな文化遺産で知られ、エコツーリズムが盛んである。村のはずれの峡谷にはツーリスト用のロッジがあり、先住民のコミュニティによって運営されている。早朝六時に目が覚め、ロッジの屋根に目を向けると、ムナジロミソサザイ(Canyon Wren)がこちらを向いて挨拶してくれた。